iOS 7

2013-09-29

なんだかんだ言ってiOS 7にアップデートした。理由はよく分からない。たぶんそこまで、つまり見かけほどは酷くはないだろうという期待もあったんだと思う。結果としては、まあ想像よりも良かったところもあるし、悪かったところもある。他のだいたいの物事と同じように。

それで、まあせっかくブログつくったんだし、その日見た夢の話以外にも思ったことは書いておこうと思ってiOS 7の感想を書くことにした。というか、実質的には不満を書きつらねた形になった。

テクスチャが消えたあとに現れたもの

リネンだとかレザーだとかフェルトだとか、そういったテクスチャを廃した結果は半透明の導入だった。初期のOS XやWindows Vistaへの確かな敬意が感じられるね・・・と皮肉を言うほど大嫌いではないけれど、キーノートで過去のテクスチャをコケにできるほどのものかなあ。

アニメーション

iOS 6のときよりもアニメーションが目立つようになった。「ふわっと感」というか軽やかさみたいなものを演出する一環だと思うんだけど、微妙にアニメーションが遅くて気になる。もういいよ、しつこいな、と言いたくなる感じ。ユーザがiOSを使い込むにしたがって何msかずつアニメーションが短くなっていけば面白いのに。エージングだ。

アイコン

あれだけアイコンの新しいグリッドをアピールしておいて、SafariなどのShareパネルのアイコンではそれを悠然と無視しているのはどうしてだろう。

新しいグリッドシステムを無視するアイコン

“Assign to Contact” は、まさにあのグリッドの大きい円に沿ったアイコンに出来るはずなのに、それを無視して小さい円を使っている。アプリのインストール中に出る円もこれと同じくらい小さいサイズ。沿ってないように見えるだけで沿ってるのかな?

ロックスクリーン

iOS 6までの上下の黒い領域が消えて壁紙を全面に表示できるようになったのは嬉しい。きれい。それに画面をつけたとき、壁紙が表示されるより一瞬早く時間が表示される演出も気に入ってる。パスコード画面で、ボタンを押しているときに背景が透過するのもオシャレ。

でもそのパスコードの入力画面下のEmergencyとCancelがボタンに見えず、まったく押せる気がしない。

残念! ”Enter Passcode” はボタンではありませんでした!

数字を入力するとCancelがDeleteに変わって一文字消せるけど、それが変わったことにも気づきづらい。そのDeleteを押したときにも上部の丸の消える速度が遅すぎて押せたか不安になる。iOS 7全般に言えることだけど、ボタンが「押せるか分からない」上に「押せたか分からない」。バカにしてんのか。

Control Center

画面下からスライドさせて表示させられるのは便利。だけど、アニメーションが微妙に長いのか、表示させた直後にボタンが押せないことが気になる。コンマ何秒かだけどイライラする。それからしまうとき面倒。Control Centerの上部のハンドルまでは親指を伸ばさなきゃいけないし、ホームボタンは物理的に押さなきゃいけないから疲れる。Control Center上で下向きにスワイプしたら隠れてくれればいいのに。

再生中の曲のタイトルをタップすると再生中の音楽アプリに飛ぶことができる。だけどそのタップに対するフィードバックはその下にある「アーティスト - アルバム名」の部分の文字色の反転なので、かなり混乱する。

押すべきなのは白の “Kindred”、押して反応するのはその下の “Burial - Kindred”

タップした身としては「ああ、(そこが反応したということは)そっちをタップすべきだったんだ」と思う。だから当然、次からはそっちをタップしようとする。でもそうするとその下の再生ボタンを押してしまうことになる。本当にタッチすべきは曲名のほうだからだ。非直感的! 実際おれは、どうして自分がうまくタップできないのかしばらく理解できなかった。きっとタップできる領域がかなり狭いんだと勘違いしていた。

Music アプリ

音楽再生画面で、「リピート」も「作成」も「シャッフル」も、なぜアイコンで表示しない? リピートにもシャッフルにもお馴染みの矢印のアイコンがあるし、作成もプラスのアイコンがある(Safariでは使われている)。ものすごくバカにされてるように感じる。

アイコンの時代を終わらすというイノベーション

ただ、もしそういうことなら、その上の3つの再生コントロールボタンが 「前の曲」「再生」「次の曲」というピンクのテキストでないのは矛盾であり致命的なバグだ。iOS 7.1で直るのを期待してる。

ステータスバー

バッテリーのアイコンの形と、それが充電中に緑色になるのが目眩がするくらいダサいのは置いておく。それにしても右側に並ぶアイコン群がアンバランス。すごく未完成に見えるし、もっと悪く言えば中国のパチものみたいだ。

特に位置情報のアイコンと回転ロックのアイコンが並んだとき。異様に回転ロックが離れて見えるし、いくつかのアイコンは浮いて見える。

だいたい12pxずつ離れてる。だいたい・・・

(ほぼ)等間隔に並んでるのは分かるんだけど、少し詰めたほうが綺麗に見える。こんな感じに:

それからロックスクリーンのときのステータスバーは普通のときより(表示が大きくなる分?)ハッキリとズレてるから早く直したほうがいい。本体とBluetoothヘッドセットのバッテリーのアイコンが違うのも気になるけど:

直すと:

感想まとめ

はじめに書いたみたいに、iOS 7には良いところも悪いところもある。だけど感動よりも失望のほうが多く、Appleに求めるデザインの水準は下回っているというのが今の正直な感想。悪夢だとこき下ろす気も(もう)ないし、これが未来への第一歩だとか絶賛する気も当然ない。OS Xが洗練されていったように、iOSも将来的にはきっとよくなるんだろう。だけど現状もうiOSデバイスを人に勧める気にはなれない。

iOS 5.1では、ロックスクリーンからカメラを起動できる機能が追加された。スライダーの右端に置かれたそのアイコンは、タップするだけではカメラを起動することは出来ない。タップしても少し跳ねるだけで、カメラを起動するためにはアイコンを上向きにスライドする必要がある。

Apple最後の良心

おれはこれを素晴らしいデザインだとは思わない。不十分で分かりにくいデザインで、理解できない人は多いだろうと思ってる。実際に使い方に気づかずに何度もカメラのアイコンをタップしている人を見たことがある。

でもおれはこのデザインが好きだ。少なくともユーザに使い方を伝えようとしているからだ。カメラのアイコンの上下に描かれたグリップは、それが上下に動かせるものであるということを精一杯伝えようとしている。そのくらいじゃ確かに分かりにくいよ、だけど、それでも伝えようとしていた。おれはそれがデザインだと思っているし、そういうAppleがとても好きだった。おれは悲しい。