iOS 7 Safariの統合アドレスバー

2013-10-22

iOS 7から、Safariの検索とアドレスバーが一体化された。ちょうどOS XのSafariやiOS/OS XのChromeのように。それ自体は嬉しいことなんだけど、詰めが甘い。

統合されたアドレスバー

URLのケース

まずはこの統合バーにURLを入力したときのことを考える。まず適当なURL(ここではwww.apple.com)を入力してページを表示する。そしてそのあとで統合バーをタップする。このときのユーザの目的はなんだろう。URLを書き換えることだろうか? おそらく違う。きっと全く新しいURLを入力するか、あるいは新しく検索をするかだ。つまり今表示しているページのURLはすぐに消せるほうがいい。そしてSafariはまさにそういう挙動をする:

Webページ表示中に統合バーをタップしたとき

いま表示しているページのURL(www.apple.com)が選択されているため、新しくURLを入力するにしても新しく検索するにしても、右側のXボタンを押す必要すらなくすぐに文字を入力し始めることができる。「いや、store.apple.comと入力したいのだ」という人がどれだけいるだろうか? (このブログを見つけて読むような人はするかもしれないね、ははは)

検索のケース

じゃあ、検索ワードを入力していたときはどうだろう。適当な検索ワード(ここでは “apple”)を入力して検索したとする。そしてその検索結果が表示されている画面で統合バーをタップする。このときのユーザの目的はなんだろう。今回はURLのときほど明確ではないと思う。ひょっとしたらさっきみたいに新しいURLが入力したくなったのかもしれないし、全く新しいキーワードで検索したくなったのかもしれない。あるいは(そしてこれがおれは一番多いと思うんだけれど)検索ワードを少し変えてみたくなったのかもしれない。Safariの挙動は先の例と変わらない:

検索結果の表示中に統合バーをタップしたとき

テキストは選択された状態になっている。新しいURLや検索ワードを入力したくなったユーザにはふさわしい挙動かもしれない。でも検索ワードを少し変えたくなったユーザは余計な1タップを強いられる。おれは検索ワードを少し変えながら何度も検索することがよくあるので、そういう立場にだいぶ肩入れしているかもしれない。でもじゃあ、ここで検索ワードを増やしたらどうなるだろう。例えば “apple macbook pro retina” で検索する。しかし、ああ、おれはレビューが読みたかったのにあまりレビューが結果の上位に来ていない。検索ワードに “review” を追加してみよう、と統合バーをタップする。するとこうなる:

検索結果の表示中に統合バーをタップしたとき(長い検索ワード)

どうすればいい。文字列を長押ししてカーソルを最後尾に持っていけということだろうか。正直言って、おれは選択された文字列の上で長押しした時にiOSがどういう挙動をするのか予想できなかった。どっちにしろ、これはかなりの負担だ。検索ワードを少し変えたくなったユーザには、検索ワードの最後尾にカーソルを表示しておくべきじゃないだろうか? どっちみちXボタンを押せば1タップですべてが消せるんだ。だったら新しくURL入力や検索がしたくなったユーザには1タップくらいさせてもいいんじゃないだろうか。

Mailなどの、ただの検索バーではそういう挙動をする。例えば長い検索ワードで検索した時でも:

検索バーをタップすると最後尾にカーソルが表示される:

とても編集フレンドリーだ(SafariよりCancelボタンが浮いてるけど)。

それは検索機能しかないからであって、Safariがああいう挙動をするのはしょうがないと思えるかもしれない。でも(Safari擁護者にとっては)残念ながら、Chromeはしっかりと賢い挙動を見せる。URLのときは全て選択し、検索ワードのときはカーソルを表示する:

Webページ表示中にオムニバーをタップしたとき (Chrome)

検索結果の表示中にオムニバーをタップしたとき (Chrome)

Chromeで出来てることがSafariで出来ないというのは情けない。別にAppleは機能とか性能で秀でている会社ではないから、そこで負けるのはしょうがない。でも、機能の面じゃなくてこういう細かい使い勝手の面で負けるのはどうなんだろうか。Appleが優れているのはそういう部分だけなのに、それが失われてしまったらAppleには何が残るんだろうか。