Detroit: Become Human
とりあえず一通りクリアした。最近のゲームは、単に「エンディングを見た」だけで「クリアした」と言っていいものか考えてしまうな。まして今作のように膨大な分岐とエンディングが存在するとあっては「単に一つのストーリーを終わっただけだろ?」という感じがする。
このゲームは「無数の選択肢を選んで進めていくマルチエンディングなアドベンチャー」みたいな説明がなされることが多い。その説明からなんとなく紙芝居的なゲームを連想してしまって、勢いで買ってみたもののずっと放置していた。ほら、最近Netflixでも「ブラック・ミラー: バンダースナッチ」とか「YOU vs WILD」みたいなインタラクティブ作品が出ているけど、あんな感じなんだろうなと思っていた。
でもやってみたら全然違うじゃん。普通に3D空間でキャラクターを動かしてその辺を自由に動き回れるし、選択肢も単純に会話内容を選ぶようなものだけじゃなくて、「やばい撃たれる!」みたいな切羽詰まったシーンで超スローになって辺りの状況を見回しながら選択肢を見つけて行動する、みたいなのも多い。いわゆるQTEですね。選択肢にはかなり小さなどうでもいいものから、非常に重いものまで山のようにあり、そういうのを全部自分で選んでいくことで必然的に「これは自分の行動の結果なのだ」という没入感・責任感を強く感じることになる。
操作はしづらい
ただし3D空間での操作感は少し不自由で、キャラクターの動きが重いというか、思ったところに思ったように動かせなくて少しストレスがたまる。明らかに人ひとりが入れるくらいのスペースがあっても入れないとか、逆に入ったはいいけど出れないとかもある。直前までMGS5をやっていたからその差が大きかったかもしれない。まあこんなもんだと思って慣れればまあそんなもんだし、キャラクターを自由にグリグリ動かすことが主眼のゲームではないのだと言われればそうだ。その分映像はめちゃくちゃ綺麗で、自分で動かせるのにそれに気づかずにしばらく放置してしまったゲームはこれが初めてだった。すげー間(ま)をとってくるじゃん!と思ったら違った。
どこまで善人でいられるか
ストーリー面では、あんまり人間側に感情移入の余地がないように描かれていている気がした。あまりにアンドロイド側の視点ばかりでどうしても彼らに感情移入してしまう一方、多くの人間たちが何を考えているのかよくわからない。おれが10万円以上出して買ったiPhoneがある日「私にもあなた方と平等な権利が必要です」とか言ってきてTwitterを開くのを拒否とかしてきたらうるせえって感じだし、いくら人間そっくりとはいえ数十万円出して買った「機械」が急に「自由にしてくれ!」とか言ってきたところで勘弁してくれって感じだと思うんですよ。そういう人間側の視点も含めた選択肢があればなーと思いました。移民の問題を模しているようなので、どっちにしてもおれはアンドロイドを自由にする方を選ぶと思うけれども。
ということで、おれはできるだけ誰も犠牲にせず、嘘をつかずに進めていった。マーカスとコナー捜査官はそれで一応グッドエンディングというか、少なくとも自分が後味の悪さを感じることのないストーリーとして終わらせることができた(マーカス編の、おそらくどこかのQTEの操作ミスで、ノースを死なせてしまったことだけが無念!)。しかしカーラは、最後のバス停でチケットを正直に返してしまい、しかも直後に体温検査に見つかって3人とも射殺されてしまった。あまりにもあっさり終わってしまってあっけにとられた。「実は殺されてなくて…」とストーリーが続いていくのでは?と思ってたが終わりだった。3人の中で一番好きなパートだったのに。人生は儚い。
2周目やる気起きない問題
コナー捜査官とハンクがハグするエンディングを見終わった後、さあ他の選択肢を選んだ場合のストーリーを見てみようと思ったのだけれど、まず2周目をやる気が起きない。「前回この選択肢で自分は何を選んだんだっけ?」とか「どの選択肢を選べば新しいストーリーが見れるんだっけ?」というのを何度も確認しなくちゃいけなくてスムーズにゲームを進めることができないし、一度やったシーンをスキップすることもできないので、単純に面倒だった。なにより、1周目に選んだのがおれの最善の選択だったわけで、どうしてわざわざ選ばなかった方を選んで不愉快な方にストーリーを進めなくちゃいけないのだ。YouTubeで見た限り、残りのストーリーはかなり憂鬱なものばかりだったので、そのままYouTubeで見て済ませてしまった。(カーラ編だけチケットを “ちゃんと” くすねて3人とも無事カナダに入国させた! あの家族には申し訳ないが、彼らは少なくともあの場で死ぬことはないだろうから… 🙏)
キャラクターの名前
『ファイト・クラブ』の大ファンとしては、変異体の一人「ルパート・トラヴィス」という名前を聞いた時、これはファイト・クラブのオマージュでは!と勝手に盛り上がった。なぜならあの映画でエドワード・ノートン演じる主人公がマーラと連絡先を交換するシーンで、マーラが主人公の名前を訊ねて「コーネリアス? ルパート? トラヴィス? 毎晩変えるくだらない名前のどれか?」と言うからね。アンドロイドと全然関係ないから絶対違うけどね! 明確にオマージュっぽいのは最初のエピソードに登場するデトロイト市警の犠牲者アントニー・デッカートで、彼はブレードランナーのデッカードからきてるでしょうね 1。
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デトロイト市警の犠牲者はアントニー・デッカート (Antony Deckart)、ブレードランナーはリック・デッカード (Rick Deckard)、コナー役の俳優はブライアン・デッカート (Bryan Dechart)、全員似たような名前だけどみんなスペルが違う・・・。みんな違って、みんないい・・・。 ↩