Flying Lotus in 3D
新木場のStudio Coastで行われたFlying Lotusのライブに行きました。すごくつかれたけど、すごくたのしかったです。
まず会場、遠いですよね。Studio Coastのサイトを見ていたら「ショートトリップ感覚やちょっとしたリゾート感覚が楽しめる都心からの気持ちいい距離感! 」と書いてあって、まあ、言い方だなと思いました。でも電車を降りると何やらそれっぽい人たちがたくさんいて、それがみんな同じ方向に歩いていく感じはなんかイベントって感じがして悪くないね。
そして知らなかったけど、Studio Coastはすごくキャパが大きくて、2000人以上入るらしい。会場ではすでにたくさんの人たちが整理番号ごとに集まっていた。おれは700番台で割と前半に入れたけど、それでもだいぶ待たされたので、多分2000番台の人たちはLouis Coleのライブ前半は見れなかったんじゃないかなと思う。
ということで早めに入れたものの、物販もドリンクもすでに鬼のように混んでいたので両方諦め、さっさとフロアの方に行くことにした。フロアにはまだ人があまりいなかったので、ステージまで5メートルくらい?の結構前の方で見ることができた。
in 3D
3D映像は思ってたほど3Dではなかった。もっと飛び出してきて体をのけぞるくらいなのかと思って、特に最初のFire is ComingのPV(だと後で知った)が流れている時、どんなグロい映像が目の前に飛び出してくるのかとめちゃくちゃドキドキしていたが杞憂だった。あのうさぎ人間みたいなやつらが内臓ぶちまけてそれをおれに向けて投げつけてきたりしたらすげー怖いし。
映像は基本だまし絵みたいなやつとか、Rezみたいなやつとかが際限なく流れている感じ。たまに雷が落ちたり、炎が出たり、FLYING LOTUSってかっこいいロゴがデーンと出てきてキラッと光ったりする。「あー、まあ、立体感はあるかな?」くらいの3D感。でもめくるめく不思議な映像にFlyLoの音楽が合わさって確かに他にない没入感があってすごくよかった。
サウンド面でいうと、正面左右にあるスピーカーに近すぎたのか、アルバムとは音のバランスが違いすぎて何だかよく分からないことがたくさんあった。なんかFlyLoめっちゃ叫んでるけどこれ何の曲?みたいな。途中 “More (feat. Anderson. Paak)” がかかったけど、ラップはほとんど聴こえなかった。彼の後ろで映ってるPVではあのロボ(↓)がめっちゃラップっぽい動きをしてるけど何も聴こえない。そもそもラップは流してないのかもしれないけど、好きだから聴きたかったな。
Flying Lotusとあの有名ゲストが
スペシャルゲストとして、なんとThundercatが出てきた!・・・のだけれど、おれはそれが誰か分からなかった。会場は沸いていた。名前紹介するかと思っておれの英語リスニング力を総動員したけど聞き取れなかった。なんか変な耳をつけためちゃくちゃベースがうまい人が出てきたと思ってた。しかもなんだかんだでライブの半分くらいはステージにいた気がする。誰だか知らんがこいつは有名どころっぽいな!
いや、おれもThundercatは知ってるし(謝罪の意を込めて帰りの電車でDrunkを聴き直しました)、Flying Lotusのアルバムも全部聴いてる。でも彼らの見た目もほとんど知らないし、PVがあったりする有名な曲くらいしか曲名も認識していない。だから基本どの曲がかかっても「聴いたことある!」とか「あのアルバムに入ってた曲だ!(よね…?)」みたいなふわっとした印象しかない。だから顔見てすぐに分かったり、ライブ後に「xxxx(曲名)をやってくれてよかった!」みたいな会話が聞こえると本当にすごいなーと思う。
アンコール(一緒にダンス)
アンコールではFlyLoが「今日は一緒に色々やって盛り上がったけど、まだ一緒にやってないことがある。ダンスだ! 踊りたい奴はいる?」(多分)と言い、みんながイェーイ!みたいに盛り上がると「本当に?お前踊りたい?お前も?」「正直ちょっと緊張するな」(多分)と言った。お客とFlyLoがステージで一緒に踊るのか・・・?と思ってビビっていたがそうはならなかった。かなり脳内補完が効いているので全然違うことを言っていたんだろう。
その後彼は「すいません」「ちょっと、ちょっと」などと日本語で(!)指示しながらフロア中央最前列あたりのスペースを開けさせていたように見えた。踊りたい奴はそのスペースで(ほら、よくあるブレイクダンスのバトルみたいに)踊らせようとしているのだと思った。実際にどうなっていたのかは見えなかったが。
その状態で「Astral Planeは知ってる?」(多分)と言って、 “Do the Astral Plane” をやった。みんな飛び跳ねていた。おれは(なんと!)タイトルに聞き覚えがあったし、曲が流れたら「ああこれね!」となった。相変わらずのにわかである。
おれはFlying Lotusのことを、もうすごいヤク中でイかれた人間だと思っていたので、きっとステージの上でもよだれとか垂らしながら白目で頭を振りMacやらミキサーやらを一心不乱にいじってコミュニケーションなんて一切取れないに違いないと思っていたので、日本語を使って軽く笑いを取ってみたり最前列のお客さんと笑顔でタッチしたりしているのを見て「人間だ!」と思った。
帰り道
ライブが終わった後、出口に向けて人混みを歩いていると、一人で来ているらしい50代くらいのサラリーマンのおじさんを見つけた。クールビズスタイルのシャツにスラックスという格好で、すごくわかりやすく仕事帰りのサラリーマンだった。今になって思い返してみると、一体何が入ってるんだ?ってくらいのパンパンのビジネスバッグを抱えていた気さえしてくる。
おれはFlyLoをヤバイやつだと思っていたのと同様に、そのリスナーも腕には注射跡でいっぱいでポケットに死んだネズミを飼っている人たちばかりだと思っていたけど、それも違ったのだ。でもそれが妙に嬉しかった。みんなそれぞれいろんな道を辿って、みんなそれぞれFlying Lotusが好きになったのだ。FlyLoは人間だったし、リスナーはおじさんだったのだ。